人間は動物をさばく権利があるのかね?



作者:手塚治虫 先生

作品:ブラック・ジャック
キャラ:ブラック・ジャック


大江戸博士が家族のように一緒に過ごしたペットの鹿であるナダレに対して、
ブラックジャックに依頼して脳を発達させる手術を施した結果、
知能化・狂暴化したナダレが自然を破壊する人間を殺害するようになってしまった。

自分の婚約者もまたナダレに殺されてしまった大江戸博士は、
今でも懐いて大江戸博士を信頼しているナダレをおびき出して撃ち殺す事を決意。

人間の勝手な都合で生体実験的な手術を行った結果、
都合が悪くなれば殺害し「これが裁きだ」と口にする大江戸博士にブラックジャックが言った台詞である。

これはちょっと脱線した個人的な意見だが、
動物愛護者というのは往々にして矛盾をはらんでおり、
捕鯨問題であればなぜ他の家畜を殺すのは許されるのか、
犬猫を保護するのはいいけどその犬猫が食べているのは家畜を殺して得た肉ではないか等、
人間は動物より上で、各動物の価値は人間が決めるという傲慢さをいつも感じます。
真の動物愛護というのは全ての動物を公平に愛するものだと思うが、
生き物が他の生き物の犠牲に成り立つものである以上、
限りなく不可能だと思うのだ。
もちろん面白半分で動物を虐待するような輩は論外ですが。

ブラックジャックは随所に読者に知的な疑問を投げかけるようなストーリーがあり、
手塚先生の見識の深さによる不朽の名作と言えるでしょう。